子どもに読ませたい漫画の感想、レビュー

3人の子を持つ漫画好きの父親が、これまでの読んだ1万冊以上の漫画の中から子どもに読ませたい漫画を紹介します。

赤ちゃん用の本が絵本から始まるように、文字だけでなく絵でも情報を伝えてくれる漫画は子どもが情報を吸収するためにはとても便利な媒体です。子どもに読ませたい(読ませたくないと思ったものも含め)漫画を感想・レビューとともに紹介します。
漫画の簡易評価をカテゴリとして整理していますので、お勧め漫画から見たい方はカテゴリもご参照ください。

  • お勧め度: ☆☆☆(時代を超える名作)
  • 対象年齢: 6歳以上(原点もぜひ)
  • 初発表年: 1994年
ドラゴンボール

概要

世界中に散らばった7つの玉を全てを集めると、どんな願いでも1つだけ叶えられるという秘宝・ドラゴンボールと、主人公・孫悟空(そん ごくう)を中心に展開する「冒険」「バトル」「友情」などを描いた長編漫画である。
『週刊少年ジャンプ』(集英社)にて1984年51号から1995年25号までの約10年半にわたって連載。各話数の通し番号は「其之○○」となっており、数字は漢数字で表される。この他に番外編『TRUNKS THE STORY -たったひとりの戦士-』(トランクス・ザ・ストーリー -たったひとりのせんし-)も掲載された。
テレビアニメ化も行われ、日本ではフジテレビ系列で放映された他、劇場版アニメやハリウッドでの実写映画も製作された。連載終了後にも多数の関連グッズやゲームソフトなどが生み出されている。

バトル漫画の金字塔

「ドラゴンボール」はいわずと知れたバトル漫画の金字塔。もう30年以上も前の漫画なのに、いまだに続編のアニメがテレビ放送され続けているというお化け漫画でもあります。

アラフォーの僕と同世代の男子なら、一度はかめはめ派の練習をしたんじゃないでしょうか。僕の同級生のたかっちは練習どころか「かめはめ波が打てた!」と言っていました。僕は残念ながら打てなかったのですが、日本全国には他にもカメハメ波を打てる子どもがいたんじゃないでしょうか。

蛇足議論

長期連載された漫画で、連載が続くほどインフレが進んでいった漫画でもあるので、あちこちでどこから後は蛇足だという議論されていたりします。挙句、連載から30年以上経ってからドクターマシリトことジャンプのトリシマ元編集長が「フリーザ編以降は蛇足」などと発言しています。

まぁ、色々な説がありますが、個人的にはサイヤ人編からが蛇足かなぁ。そこまでは地球規模でかつ、タイトルどおりのボール集めをしていたのに、サイヤ人編から一気にインフレが加速していった気がします。

うちの子どもなんかは喜んで見ていますが、全王様とか破壊神ビルスとかスーパーサイヤ人ゴットとかゴールデンフリーザとか...なんかもういったい何なんだ、原作レイプはやめてくれーというのが正直なところ。

僕自身がサイヤ人編あたりからJUMPを読まなくなったのと、保守的なだけ...かもしれませんが。

でもやっぱり面白いです

でも、読み返してみるとやっぱり面白いです、ドラゴンボール。戦いながら冒険を続ける中で仲間が増えて行き、強大な敵と出会い、修行して強くなってその敵を打ち破っていきます。ストーリーがサクサク進むし、スピード感あふれるバトルも見ごたえがあります。

(絵にてついて言うと、初期のコマ割りの大きさや背景の書き込みとインフレが進んだ終盤の大ゴマ連発や背景の無い世界を見ると、作者自身のモチベーションもなくなってきたことがわかるのがまた面白いです。)


最近のテレビアニメで「ドラゴンボール」を見ている子どもたちは、ひょっとしたらコミックの最初のほうのストーリーなんて知らないかもしれません。コミックスには、カードゲームに出てくるほどの強キャラはほとんど出てきませんが、何事も原点は大事ですので、未読であれば、ぜひ読んでほしいです。

ちなみに、2017年2月24日までDRAGON BALL モノクロ版がKINDLEで無料になってます。

  • お勧め度: ☆(面白いテーマなんだけど)
  • 対象年齢: 15歳以上(性的描写が気になる)
  • 初発表年: 2014年
オケラのつばさ

あらすじ

「このまま人類をのさばらせては地球が危ない!」と神々が人間をテストすることに。下界に降りた貧乏神は「世の中お金主義」だった翼の命を救う代わりに、彼の一番大事にしていたモノ――“お金”を使えないようにしてしまう。親の遺産&イケメンを武器にセレブ生活を送ってきた翼だが、お金ナシの0円生活に突入することでドン底人生に転落していくが…!?

貨幣経済や資本主義社会へのアンチテーゼ?

「オケラのつばさ」はお金が使えない生活を送る中で人類がどうやってすごしていくのかというドタバタコメディ...なんでしょうか。タイトルにあるとおりオケラ(=一文無し)になった翼くんが主人公の漫画です。

全体に中途半端

作者としては、資本主義的なお金が唯一の価値観という世の中に警鐘を鳴らしつつ、お金だけでない価値とかお金以外の価値をもっと見せたかった気がするのですが、そういったメッセージは弱いかも。

「お金がなくても何とかなる」と、主人公の翼が新たな価値観を手に入れたのは良いと思いますが、この漫画は打ち切りだったんですかね…唐突な終わり方でしたし、ギャグでいくのかメッセージを強く出したいのかも中途半端だった気がします。

性欲に

性的描写も気になる

後は気になるのが性的描写。連載されていたのが青年誌だから仕方が無いのかもしれませんが、不必要にアダルトな描写が差し込まれているように感じます。それさえなければ、もっと小さい子でも読ませて考えさせるのにいい漫画のようにも思えるのですが。

(というか、僕の身の回りにたまたまいないだけで、世の中には性欲に人生狂わされる人ってたくさんいるんでしょうか?)

お金を使わない生活って

でも実際、「オケラのつばさ」のようにある日急にお金が使えなくなることって、現代社会では可能性がゼロではないんですよね。アメリカ合衆国や中国がデフォルトを行うことによって、明日にでも貨幣経済の崩壊が起き、お金がただの紙切れに変わるかもしれません。

自分自身に限って言えば、出だしさえ何とかなれば完全自給自足でも生きていけるんじゃないかと思っています。罠猟の知識で動物を取ることはできるし、魚釣りもするし、野菜や米も育てたことあるし。実際、離島で数年暮らしてみましたが、子どもの学費さえ考えなければ現金収入なんてごくわずかで生活できると実感しました。

ただ、道具から作ったことがないので、ナイフとか釣り針とかが心配かなぁ。鹿革なめしてみたことも歩けど失敗したから衣服も心配だけど。子どもにも、さまざまな経験を通じてお金に頼らない生き方は身に着けてほしいと思います。


  • お勧め度: ☆(何が面白いのかわからない)
  • 対象年齢: 10歳以上(グロ描写もあるので)
  • 初発表年: 2011年
山賊ダイアリー

あらすじ

漫画家でありながら猟銃所持許可・狩猟免許を持つ作者自身の経験を描いた実録風漫画。劇中では岡山県の狩猟者登録証を取得しているとあるだけで詳細な地名は登場しないが、岡本が居住している津山市の公式観光サイトでは地元を舞台とするマンガとして本作の紹介ページを設けている。猟期が影響する関係上、劇中の日付が明記されているが、第一矢目は2009年11月の猟期開始時、2年目の2010年の猟期開始時が第六十三矢目(単行本5巻収録)となっており、現実よりかなり進行が遅い。欄外に「この作品は、作者の実体験を元にしたフィクションです。が、狩猟や食のシーンに関しては、ほぼ事実です」とのコメントが記載されている。

猟師の日常

「山賊ダイアリー リアル猟師奮闘記」は猟師の日常を淡々と書いた漫画です。狩猟免許の話から捕獲動物の話、実際の猟やその後の解体・食事の話が書かれているので、こういう世界に興味がある人にはたまらない漫画かもしれません。

特に、サバイバルなんかを空想する男児にはたまらないんじゃないでしょうか。

でも違和感が...

もう亡くなっていますが、僕の祖父も猟師をしていました。たまにニュースで流れる「地元猟友会のひと」として熊が出たりイノシシが出たりすると呼ばれて出かけていっていたのを思い出します。

僕自身も、田舎暮らしをしていたときに狩猟免許(罠猟ですが)をとって、鹿くらいなら自分で捕って絞めて裁いて食べていましたが、狩猟するときには命のありがたみや自然への感謝を強く感じていました。

「山賊ダイアリー リアル猟師奮闘記」の主人公も、獲った獲物は最後まで美味しくいただくことをモットーとしているのですが、なぜか生命や自然への畏敬や感謝があまり感じられない気がします。猟奇殺人犯のようといったら言い過ぎかもしれませんが、命を奪うことをゲームとして楽しんでいるような、命をいただく事をゲテモノ食い自慢としているような印象を受けてしまいます。

狩猟の世界を知らない人向けに、重くならないようにあえて淡々と軽いノリで書いているだけならいいのですが。

未知の世界を知るには

とはいえ、猟師というのは特に都会に暮らす人にはなかなか縁が無い職業だと思います。猟師の世界を垣間見て、未知の世界を知るには良い本かもしれません。

(山には山のルールがあって、漫画にはかけない、表には出せない話もいっぱいあることでしょうが)


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