子どもに読ませたい漫画の感想、レビュー

3人の子を持つ漫画好きの父親が、これまでの読んだ1万冊以上の漫画の中から子どもに読ませたい漫画を紹介します。

赤ちゃん用の本が絵本から始まるように、文字だけでなく絵でも情報を伝えてくれる漫画は子どもが情報を吸収するためにはとても便利な媒体です。子どもに読ませたい(読ませたくないと思ったものも含め)漫画を感想・レビューとともに紹介します。
漫画の簡易評価をカテゴリとして整理していますので、お勧め漫画から見たい方はカテゴリもご参照ください。

  • お勧め度: ☆☆☆☆(一家に一冊!)
  • 対象年齢: 10歳以上(大人になるまえに)
  • 初発表年: 2007年
食卓の向こう側

作品紹介

食のこと、農業のこと、命のこと、子どものこと、この本を読んで考えて下さい。

人気連載の漫画化

「食卓の向こう側 コミック編」は西日本新聞社の連載記事「食卓の向こう側」をベースに、「玄米せんせいの弁当箱」などの食に関する漫画も描く魚戸おさむさんが漫画化したものです。

西日本新聞社の連載記事を読んだ魚戸おさむさんが取材班に電話をしたことがきっかけで漫画化されたとか。

漫画だからわかりやすい

漫画版では、朝食抜きだったりコンビニ弁当が中心だったりと、今時の食生活を送る若い新聞記者が主人公で、「食卓の向こう側」取材班の一員として取材を行う中で、自らの食生活も見直していきます。

漫画なので理解しやすいようで、我が家の小学生たちもこの漫画を読み、食の大切さを認識してくれたのか、わかりやすいところでは、よく噛むことを気にするようになってくれました。母乳の話や赤ちゃんのウンチの話など、これからの未来を作っていく子どもたちや若者にこそ読んでほしい一冊です。

食卓の向こう側 コミック編〈1〉
魚戸 おさむ
西日本新聞社
2007-10

是非、書籍も

元の連載記事「食卓の向こう側」はブックレットとしては13部までが出版されています。元が新聞記事ということもあり、文体に硬いところもありますが、是非、ブックレットも手にとってほしいところ。

もっとお手軽にコミック版で続編が出てくれてもいいのですが...。元々、コミック編<1>と付いているあたり、続編も出す計画があったようなのですが、あんまり売れてないんですかね。よい本なので、多くの人に読んでほしいです。というか、学校図書に入れてほしい!

食卓の向こう側〈1〉 (西日本新聞ブックレット)
西日本新聞社「食くらし」取材班
西日本新聞社
2004-04

  • お勧め度: ☆☆(一度は見ないと)
  • 対象年齢: 6歳以上(子どもから楽しめる)
  • 初発表年: 1995年
中華一番

あらすじ

中華一番!
舞台は中国。時代は清朝末期の動乱の最中にある19世紀。四川省の少年、劉昴星(リュウ・マオシン)が特級厨師(中国料理界の最高位)になるために広東省の広州にある陽泉酒家へ修行に赴き、それから様々な料理人と出逢い、成長していく。
真・中華一番!
創設800年の歴史を持ち、中国料理界に暗躍する裏料理界と、千年前に隕鉄から作られたと伝わる伝説の厨具をめぐってマオと仲間たちが冒険を繰り広げるストーリー。

闘う料理漫画

「中華一番!」はミスター味っ子の中国大陸版とでもいうのでしょうか。ミスター味っ子同様に料理を素材にした格闘漫画です。

主人公の劉昴星(リュウ・マオシン)は小柄なのですが、マオと闘う相手役はそのほとんどが筋肉ムキムキの格闘家体型。必殺技を叫びながら料理しますし、料理どころか実際に調理器具を使っての立ち回りもあります。

格闘家

徐々に不思議な世界へ

バトル漫画では戦いがインフレしていき、人間の枠を超えて地球規模や宇宙規模まで話が膨らんでしまうことが多々あります。闘う料理漫画である「中華一番!」のその例に漏れず、で出てくる料理も徐々に人外の世界へと話が進んでいきます。

真・中華一番という話になってから追いかける伝説の厨具も、現実感のないマジックアイテムですし...。

料理に絞ると、物語の出だしは、黄金チャーハンという名のただの卵炒飯から始まり、物語の最後を締めるのも炒飯です。最後の料理はその名も「母なる太陽球(マザーソーラーボール)」。再現するのはかなり難度の高いレシピだと思います。具体的な調理方法は控えさせていただきますが、未読の方は、ぜひ、このインフレ具合を楽しみにしてください。

それ以外にも物語の後半になっていくと、長江に火薬を仕掛けて火の海に変えたり、おなかを切り開いて卵をとった後の魚が泳ぎだしたり...本人たちが真剣な分、下手なギャグ漫画よりも楽しめます。

リアクションもなかなか

同時期に連載していたミスター味っ子への対抗意識なんでしょうか、「中華一番!」での料理に対するリアクションもなかなかです。


FireTVで無料

アニメ化もされ、アニメもなかなか見ごたえがありました。amazonのプライムビデオなら中華一番のアニメを見ることもできます。

今見ると古臭い感じもするアニメなのですが、うちの子にも受けていました。料理漫画というよりも格闘漫画というよりも、ギャグ漫画として見ているかもしれません。というか、「鳳凰水晶作って!」とか言われても無理です。


というわけで、少し古い漫画ではありますが、内容は今読んでも十分楽しめます。未読の方はぜひ!

  • お勧め度: ☆☆(現代っ子にもうけます)
  • 対象年齢: 6歳以上(子どもから楽しめる!)
  • 初発表年: 1994年
ミスター味っ子

あらすじ

亡き父が残した日之出食堂を母と一緒に支える味吉陽一のもとに、日本料理界の重鎮、味皇こと村田源二郎が訪れ、そこで陽一の作ったカツ丼に驚くことになる。味皇に招かれた陽一は、スパゲティ勝負がきっかけとなり、料理人達との美味しい味を求めた勝負に挑戦していくことになる。

グルメバトル漫画

「ミスター味っ子」は、今も続く料理バトル漫画の原点ともいえる漫画です。主人公(味吉陽一)がいて、ライバル(堺一馬)がいて、悪の組織(味将軍グループ)と料理勝負をしていくという王道ストーリー。

主人公の味吉陽一は、時には一人で、時にはチームを組み、毎回毎回追い込まれながらも、最期には、様々な料理人を創意工夫の料理で打ち破っていきます。

この基本パターンを安心して読めると感じるか、ワンパターンでつまらないと感じるかでこの漫画の評価は大きく変わってくるかもしれません。

なんといってもリアクション

「ミスター味っ子」が有名になったのは何といってっも、そのリアクションでしょう。色やにおい、味を伝えることが出来ない漫画という媒体を使いながら、その味を読む人に伝えるために作者の寺沢氏が編み出したのがオーバーなリアクションでした。

(といっても、漫画版はアニメ版に比べるとおとなしいものです。僕自身、アニメから入ったので、原作を読んだときは正直拍子抜けでした。)

主人公の成長も

そんなオーバーリアクションゆえにギャグ漫画的な捉えられ方もする「ミスター味っ子」ですが、バトル漫画としてもなかなかです。

主人公の味吉陽一は料理勝負の前に相手の料理を食べてショックを受け、どうやってそれよりも美味しいものを作るのか悩みに悩み、そして、壁を乗り越えて相手に打ち勝ちます。ワンパターンといえばワンパターンなのですが、苦難に突き当たってもくじけずに打開策を探っていき、壁を打ち破って成長していく。そんな成長物語としても楽しめる漫画です。

やっぱりアニメ

でも、やっぱりアニメのほうが面白いかなぁ。アニメ版でのリアクションは口から光線を吐いたり、宇宙へ飛び出していったりと奇想天外なもの。ちょうど今(2016年2月)、アニマックスでHDリマスター版が放送されています。

漫画自体は30年も前の漫画なのですが、味皇さまを筆頭とするオーバーリアクションはうちの子どもたちにも馬鹿受けしています。作者自身も、アニメの表現を漫画に逆輸入したようなことを言っていた気がしますが、いや、アニメがいいです。

(って、主人公の声がコナン君と同じだったの知らなかった)

リアルを目指した料理

「ミスター味っ子」で取り扱う料理は、カツどんやミートソースといった庶民的な料理が多いのも特徴でしょう。

料理漫画の中では、比較的現実的なレシピが多いようで、ネット上でも再現レシピに挑む方がちらほらと見つかります。中には、考えるだけで不味そうなメニューもありますが...


続編も…

そして今、歴史漫画雑誌「週刊朝日増刊 真田太平記」(朝日新聞出版)にて、中学生の陽一が幕末へタイムスリップする外伝『ミスター味っ子 幕末編』が連載中。時を越えて復活して、時を越えて過去にさかのぼるとは...いったい、どうなることやら?


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