• お勧め度: ☆☆☆(繰り返し読まないと良さが分からない)
  • 対象年齢: 10歳以上(低学年には難しい話)
  • 初発表年: 2013年
koe

1巻で辞めなくて良かった

2016年9月に映画化され、そのキャンペーンでKindle版の1巻を無料で読むことが出来ました。1巻は悪ガキが、子どもらしい悪意を持って障害を持つ同級生をいじめる物語です。

自分の子どものころにあったいじめの経験を思い出し、気分が悪くなります。でも、物語はそれだけでは終わりません。1巻だけで本を閉じることなく、最後まで読まないとこの作品の価値はわかりませんでした。

作品紹介

お前なんかに出会わなきゃよかった。もう一度、会いたい。/耳の聞こえる少年・石田将也。耳の聞こえない転校生・西宮硝子。ふたりは運命的な出会いをし、そして、将也は硝子をいじめた。やがて、教室の犠牲者は硝子から将也へと移っていった。幾年の時を経て、将也は、 もう一度、硝子に会わなければいけないと強く思うようになっていた。
【作者・大今良時先生から】「点と点で生きている人たち。遠く、離れ離れの小島のように生きている人たちを描きたくて、この物語を描きました。みなさまに読んでいただければ、この上ない幸せです」
講談社特設サイトより

多くの賞を受賞

聲の形は、2015年版『このマンガがすごい!』オトコ編で第1位、『マンガ大賞2015』で第3位、第19回手塚治虫文化賞新生賞、2016年マンガワ賞 少年の部 と、多くの賞を受賞しています。

タイトルに込めた思い

タイトルの「聲」は旧字体で書かれています。この字には、「声と手と耳」が組み合わさって. できているという説があることを作者が知り、気持ちを伝える方法は声だけでないという思いを込めたそうです。

主人公もヒロインも周囲の人たちも、伝えたい考えや気持ちをどう表現するのかどう伝えるのか様々な葛藤を抱えています。

お互いの気持ちを上手く伝えられないから、コミュニケーションが上手く取れないから、誤解が生じていじめにつながることもあります。

少なくとも一度は読んでほしい

重い話から始まり、とっつきにくいのですが、様々なエピソードが絡み合い苦しみながらも、明るい未来が見えるラストへと向かっていきます。思いテーマではあるのですが、一度は最後まで読んでほしいです。

一貫して主人公の視点で書かれているので、一度、さらっと読むだけでは登場人物の気持ちに気づけないことも多々あります。本当は何度も読み返してほしいけど...

暗い過去や後悔と向き合うことはしんどいことです。この漫画はそんなことを要求してくる漫画でもあります。でも、更なる成長のためには自分を見つめなおすことは欠かせません。

とりあえず、一度は最初から最後まで読んでほしい話です。

うちの子供たちは

小五の次男でもまだ難しい話だったようです。最後まで読むことが出来ませんでした。

この漫画を読むころには乗り越えていましたが、中学校入学後、一時期はイジリが行き過ぎていじめの被害者になりつつあった長男は複雑な思いで読んだようです。1巻の途中で手が止まり、そこから先へはしばらく進みませんでしたが、いつの間にか完読したようです。

どんな感想を持ったか聞けていませんが、きっと何かを学んでくれたんじゃないかと思います。