- お勧め度: ☆(意欲作だけれど…)
- 対象年齢: 6歳以上(むしろ子どものほうが素直に楽しく読めそう)
- 初発表年: 2009年
あらすじ
動物たちが暮らす弱肉強食の星「どうぶつの国」に現れた人間の赤ん坊タロウザ。1、2巻では母親としてタロウザを育てるモノコ達の暮らしや、生きていくための戦いが描かれ、3巻以降は7年後の世界に移り、タロウザは草食動物と肉食動物とが仲良く暮らす方法を模索する。そして8巻の初めで3年経過し、悲劇を経てさらに5年が過ぎていくと青年編が始まり、タロウザ達が最後の決戦に挑む。
ヒトの役割とは?
動物たちが暮らす弱肉強食の星。様々な動物たちが暮らし、それぞれの種族が家族や仲間と暮らしていますが、種族が違うと言葉が通じません。
そんな動物が中心の星ですが、ヒトだけがどんな泣き声の動物とも会話することができます。会話ができる、コミュニケーションが取れるということはお互いの橋渡しができるということ。この物語には5人のヒトが登場し、動物たちとのコミュニケーションを通じて、それぞれの理想を作ろうとします。
争いのない世界を作りたいタロウザ
5人のヒトはそれぞれ生い立ちや育った場所で違う考えを持つようになります。主人公のタロウザは、人間の世界では母親に捨てられた過去を持ちますが、どうぶつの国ではタヌキのモノコに愛情を持って育てられます。モノコはその後、野性の世界の厳しい現実に巻き込まれますが、タロウザはこのような生い立ちから、争いのない世界を作りたいという思いを強くします。

弱肉強食は悪?
どうぶつの国は、動物同士が暮らす弱肉強食の星。しかし、主人公のタロウザは、捕食せずにすべての生き物が仲良くする世界を作ろうとします。理想論なのですが、理想論を否定されても、壁にぶち当たってもあきらめません。
このキャラクターが発する熱いメッセージを通じて、「弱肉強食」という重いテーマに対する作者の思いやこだわりが伝わってきます。
考えさせられる作品
作者が投げかけてくる問いかけに自分なりに答えを探したくなる漫画なのですが、正直、個人的には作者の思想にあまり同意できませんでした。いろいろ考えると穴が多くて…うーんという感じ。
(肉食はだめでも魚はいいのか、草食動物の繁殖力は食べられるの前提だろう、永遠の実ってなんだよ…とか)
子どものほうが楽しめるかも
下手に大人になって知恵がついてしまうと、僕のように、こんなのありえないとか、ここがおかしいとか、ついつい粗を探してしまうのですが、物語全体としては命の大切さや生きることの厳しさ、生きることの喜びを教えてくれる良作だと思います。
下手に知識をつけてしまった大人よりも、子どものほうが素直にこの漫画の良い面を吸収できると思います。