- お勧め度: ☆
- 対象年齢: 10歳以上
- 初発表年: 2013年

あらすじ
物語の舞台は現代のイギリス。生まれつき人ならざるものを見ることができるため他人からも家族からも疎まれ、不幸と孤独にまみれて生きてきた日本人のチセこと羽鳥智世は、自暴自棄となり謎の男が薦めるままイギリスに渡り、闇のオークションに「商品」として身を委ねる。その会場でチセは骨頭の人外エリアス・エインズワースに500万ポンド(約8億5千万円)で落札される。
今までの人生について「良かったことなんて一度も無い」と言うチセに対し、「良かったと思えるようにしよう」と応えるエリアスは、チセが魔法使いとして大きな素質を持ったスレイ・ベガであることを明かし、自身の弟子にしつつ嫁にするつもりであることを告げる。イングランドでの生活が始まった2人であるが、エリアスが弟子を育てることを快く思わないイギリス教会は、ペナルティとして2人に3つの案件の処理を依頼する。これらの案件を解決していく過程で、チセは自身と同様に不幸な境遇の人々と出会い、彼らの心を救う中で自身の過去とも向き合うようになる。
洋風ファンタジー人情話
魔法使いの嫁は西洋を舞台にしたファンタジーかつ人情ものの漫画で、洋の東西は違うものの、「夏目友人帳」や「蟲師」と似た雰囲気。これらの漫画が好きなら、きっと好きな漫画になると思います。
心情が伝わる
小説にはない漫画ならではの心情表現として、コマ割や登場人物の表情があります。人外で、骨だけなのに、エリアスの表情が伝わってくるような気すらします。静かに落ち着いた気分で読みたい漫画です。

ストーリーはゆっくりと
魔法使いの嫁では、ストーリーがゆっくりと進んでいきます。序盤の何巻かは世界観の説明だけで終わっているのではないでしょうか、序盤で読みづらい方もいらっしゃるかもしれませんが、是非、6巻(2016年11月時点の最新刊)まで読んでほしいです。
そして、もう一度読み直してみると、ゆっくりとストーリーが進んでいないように思えてもチセが成長し、チセとエリアスの距離が徐々に縮まっていることに気づくでしょう。
うちの子は…
小一の娘は、絵が怖いと中身を読めませんでした。まぁ、確かに最初のうちはおどろおどろしさを感じるかもしれません。
でも、妖怪好きの小五次男や、受験の息抜きに漫画を開く中三の長男は楽しんで読んでいるようです。キャラクターの心情が大事な漫画なので、心情を読み取るという意味では現代文の勉強にもつながるかも。