• お勧め度: ☆☆(良い!)
  • 対象年齢: 10歳以上(うちの会社に転がってました)
  • 初発表年: 2003年
コンシェルジュ

あらすじ

就職氷河期を乗り越えてクインシーホテル・トーキョーに就職した川口涼子が配属された部署は、コンシェルジュ。それまで名前を聞いたこともない職種だった。道案内からチケットの手配、時には悩み事の相談まで何でもそつなくこなすチーフ・コンシェルジュの最上拝は、お客様の悩みや要望を、まるで魔法を使ったかのように解決していく。
18巻より、クインシーホテルと業務提携したアメリカのサンライズヒル・グループのホテル、サンライズヒル・ニューヨークが舞台となる。川口涼子が1年間の研修としてサンライズヒル・ニューヨークへ出向。やがて、川口涼子自身が「魔法を使う伝説のコンシェルジュ」と称されるようになっていく。

コンシェルジュという仕事

今でこそ、あちこちで「コンシェルジュ」を見かけるようになりましたが、この漫画が出たころには見かけることも聞くこともなかった仕事ではないでしょうか。総合世話係のような役割で、うちの父が入院した病院にすらコンシェルジュを名乗る人がいました。

漫画に出てくるホテルであれ、伊勢丹のような百貨店であれ、病院であれ、あちこちが縦割り細分化されてきている世の中なので、お客様の立場に立って横断的総合的に話に乗ってくれるコンシェルジュという職種は必須の世の中かも知れません。

二人の主人公

主人公の一人である最上拝は伝説のコンシェルジュ。「常にお客様の立場に立って考える」を心情として、魔法の手帳を駆使しながらお客様に満足いただけるよう最良のサービスを提供します。

その姿はもう一人の主人公である川口涼子は最上の背中を見ながら、アドバイスを受けながら、一人前のコンシェルジュとして成長していきます。この二人の距離感というか、最上の指導方法がまた、部下や後輩を迎えて悩む人には参考になるのではないでしょうか。

魔法の手帳

もてなしの心

コンシェルジュである最上と川口は、お客様のかなりの難題にも応えていきます。「サービスの本当の姿とは お客様に何か言われる前にそのご要望を察すること」とは最上の言葉。この漫画にはサービス業や接客業だけでなく、仕事にかかわるすべての人が知っておくべき知識、もてなしの心がちりばめられています。相手の顔が直接見えない仕事もありますが、すべてサービスなんです。

将来、社会人として自立していかなくてはいけない子ども達に、世の中に出る前に読ませたい漫画です。

ちなみに...

IT系の会社に勤める私ですが、社長の「すべての仕事はサービス業」という思いもあり、オフィスにこの漫画(コンシェルジュ)が転がっています。プログラム作るのだって、お客さんのためを思って作って、お客さんから満足をもらわないと。

コンシェルジュ (1) BUNCH COMICS
いしぜき ひでゆき
新潮社
2004-07-09

政治色が...

ただ、途中から政治色が徐々に強くなってしまうのが残念といえば残念。まぁ、完全に中立な人間なんていないのである程度は仕方ないんでしょうが。そこを多めに見られる方にはお勧めの漫画です。