• お勧め度: ☆☆(特にサッカー少年に)
  • 対象年齢: 6歳以上(フリ仮名が無いけれどうちの子は読んでました)
  • 初発表年: 1987年
オフサイド

あらすじ

中学生の熊谷五郎は恵まれた体躯とセンスを持つゴールキーパーだが、中学校のサッカー部は万年初戦敗退の弱小校で脚光を浴びる事はなかった。
高校受験を迎えた五郎は、「五郎ちゃんはもっと評価されるべき」と言う幼馴染の渚の勧めもあり、文武両道を掲げるサッカーの名門、横浜南高校(通称・ヨコナン)に共に入学を目指すが、受験日当日に渚と試験会場に向かう途中渚が交通事故に遭い、五郎は救急車に同乗し病院まで付き添ったために試験を受ける事ができず。二次募集でヨコナンの向かいにある私立川崎高校(川高)への入学することになった。しかし、そこにはかつて中学生の最後の練習試合で五郎と死闘を演じた薬丸、シンゴの両名がいたのだった。
五郎、薬丸、シンゴの3人は、「打倒ヨコナン」と「全国大会出場」を目指して仲間と共に成長して行く。そして、後にキーパーからフィールドプレーヤーへ転向した五郎は、世界へ通用する選手としての道を歩む事になる。

高校入学から卒業までの3年間

「オフサイド」では、主人公熊谷五郎のサッカー漬けの高校生活3年間を描ききっています。グダグダとした展開や似たような話を繰り返す引き伸ばしも無く、登場人物の魅力を引き出しつつきれいに書ききっています。

グダグタ展開や複線回収しきれないうちきり漫画は好きでないので、それだけでも高評価の漫画です。

現実感のあるサッカー

サッカーのプロリーグJリーグが発足したのが1993年。「オフサイド」が発表されたには1987年で1992年まで連載されましたが、Jリーグ発足前に連載を終えています。そんな時代にもかかわらず、リアルなサッカーを書いているのがオフサイトの魅力のひとつです。

「オフサイド」以前のサッカー漫画は必殺シュートがあったり、超人的なプレーが当たり前だったのですが、「オフサイド」には必殺シュートも現実離れした超人も出てきません(天才は出てきますが、許せる範囲)。それでも、迫力ある絵が、迫力ある物語が展開できるんです。

五郎

普通に感動

強烈な負けず嫌いの薬丸、薬丸の相棒でテクニシャンのシンゴ、ライバル高に双子の兄がいるキーパーの勝彦、川高の最初のキャプテンである織田...などなど一人ひとりの抱えている悩みや人物像も掘り下げられながら、主人公五郎のリーダーシップでみんなをまとめて高校サッカーの頂点を目指します。

挫折も味わい、悩みながら、最後には総力戦で栄光を勝ち取るのですが...もう、結果がわかっていても泣けます。感動します。

ポジションの呼び方とか、戦術面とか、今見ると古い点はありますが、それでも、この感動は時代を超えて伝わるものでしょう。


大人が読むと、もう一回高校生をやり直したくなるような。子どもには悔いのない青春を送ってほしいと応援したくなるような漫画です。