• お勧め度: ☆☆☆(学習漫画としても)
  • 対象年齢: 15歳以上(薀蓄を学ぶにも基礎知識が必要)
  • 初発表年: 1994年
もやしもん

作品紹介

菌が見える特殊能力を持つ、もやし(種麹)屋の次男坊、沢木惣右衛門直保。彼は東京の某農大に入学する。農大を舞台に、沢木と研究室その他の仲間達、そして菌が活躍したりしなかったりのキャンパスライフ。大学生活のモラトリアム感と、菌が満載の「もやしもん」。あなたもぜひ、かもされてみてください。

菌が見える?

菌が見えるという特殊能力を持つ沢木惣右衛門直保が主人公の漫画です。まぁ、漫画ならではの設定ですよね。

菌というと、汚いものや嫌なものという印象を持つ人が多いかもしれませんが、「もやしもん」の世界でデフォルメされた菌達はなんともかわいらしく、菌のフィギュアが発売されるほど人気になってました。アニメ化や実写ドラマ化もされた人気作です。

でも、この菌が見えるという設定...あんまり本筋と関係ないのが...。全体を通じて、主人公以外の人のキャラクターのほうが目立っている漫画です。

学園物?薀蓄物?

ただ、この漫画。その見方によって評価が変わってくる漫画かもしれません。農大生がキャンパスライフを送っていくという学園物としてみてしまうと、薀蓄部分がうるさすぎて、読みづらいかもしれません。

樹先生を中心とした薀蓄物として読んだほうが楽しめる気がします。農業とか食に興味のある人にはたまらないない漫画なんじゃないでしょうか。

でも、終盤は結構学園物っぽくなってきますが。

沢木惣右衛門直保

樹先生の薀蓄が楽しい

個人的には、この漫画の一番の見所は、小泉武夫教授をモデルにしたとも言われる樹教授です。大学の片隅でキビヤックを作り出し、学内の古い校舎で酒を作り出し、何かというと薀蓄を語りだし、漫画とは思えないほどそのページを文字だらけにしてくれます。

漫画としてのストーリーだけを追いたければ、樹先生の薀蓄は全部すっ飛ばしてもかまわいません。物語の本筋にはほとんど絡んでこないので。キビヤックをはじめとする世界中の珍味や酒造りなど、発酵を中心とした語りが本当に凄い。でも、この薀蓄こそが「もやしもん」の魅力だと思います。

子どもには厳しいかも

ただ、薀蓄部分は結構細かいので、少なくとも小学生の子どもには受け付けられませんでした。中学生の長男も、飛ばし読みしている感じかなぁ...お酒造りの話なんかもあるので、酒が飲めるようになってから、成人してから読んだほうが楽しめる本かもしれません。

似たような系統の話である玄米先生の弁当箱をまず読ませてみて、興味を持つ子には、よりディープな「もやしもん」を読ませるのがよいかも。