- お勧め度: ☆(可もなく不可もなく)
- 対象年齢: 10歳以上(歴史に興味を持ってくれるかな)
- 初発表年: 2011年

あらすじ
園場凌は父の後を継いでレストラン「ヘブンズドア」オーナー兼シェフとなったが、レストランには何故か死の間際の歴史上の著名人がやってくる。彼らの無理難題のような注文を受け、園場は従業員の有賀千恵や前田あたり、過去に帰れず従業員として居付いたジャンヌ・ダルクと共に機転を利かせて、彼らの最期の料理として満足のいく一皿を作っていく。
タイムトラベルもの
漫画のネタとしても結構ありがちなタイムトラベルとグルメを組み合わせたのが「最後のレストラン」です。死を目前にした偉人達が食事を注文し、それに答えていきます。
偉人や食事に関する薀蓄も多いので、歴史に興味を持つきっかけとしても、食に興味を持つきっかけとしてもよい本ではないでしょうか。
出てきたレシピを自作したことはないのですが、漫画グルメの再現レシピとしては外れがなくおいしいようです。
ドラマ化もされました
「最後のレストラン」はNHKでドラマ化もされていました。我が家がこの漫画に興味を持ったきっかけもドラマだったのですが、ドラマと漫画は全く別物でした。
ドラマでは男性従業員をはじめとし原作にないキャラクターがやたらと多いし、ストーリーも原作にはないヒューマンドラマ化しているし、日本人俳優が西洋人の役をするのには無理があるし...。山村紅葉さんの楊貴妃だけは見ごたえありましたが。
どちらが好きかといわれれば、漫画のほうが面白かったかなぁ...。ドラマやストーリーに軸足を置いたテレビドラマと食や薀蓄に軸足を漫画との違いがあるので、好みの問題だとは思いますが。

読みやすいです
織田信長やヒトラー、ガンジー、サルバトール・ダリなど様々な人物が訪れる「最後のレストラン」。ジャンヌ・ダルクや安徳天皇など、物語が進む中でレギュラー陣も充実していきます。
とはいっても、基本的には一話完結。ちょこちょこと話をまたいだ小話が入ることもありますが、どの巻から読んでも大筋に影響はありません。続きを気にすることなく、一話で読み終えることが出来るので移動途中や睡眠前などにも気軽に読める漫画です。
前田さんすごい!
いろんな国やいろんな時代から人がやってくるので、言葉や時代背景も様々なのですが、そんな時代の差を埋めてしまうのがスーパー大学生の前田あたりさん。
日本国内ですら、数百年前の人とは会話が出来ないだろうに(現代だって、本気の鹿児島弁や津軽弁は大半の日本人に理解できません)、あらゆる言語を使いこなし、その人物の薀蓄や歴史的・文化的背景まで解説してくれるスーパーウーマンです。
前田あたりという名前自体、「あたりまえだ」を逆にしただけなので、当たり前にいろいろ出来るのでしょう。漫画ならではのスーパーキャラクターですが、最新の9巻を読む限り、今後、前田さんの超能力の源泉が明らかにされることがあるのかもしれません。
ただ...
なんというか、全体に「可もなし不可もない」という読後感なんです。一話完結型だから仕方ないのかもしれませんが、「続きが読みたいー」と思うようなことがなく、「気になるからもう一回読み返そう」ということもなく。一回読んで、満足という印象。
うちの次男が夏休みの宿題だった偉人の紹介(本来は、伝記を読んで書くらしい)にこの漫画を便利に使っていたようですが、便利だし、為にはなるのですが、もう一歩何かが足りない気がします。(ということで、おススメ度は「時間とお金に余裕がある方」向けとさせていただきました。