• お勧め度: ☆☆(後半盛り上がります)
  • 対象年齢: 6歳以上(子どもでも安心)
  • 初発表年: 2003年
結界師

あらすじ

400年続く妖(あやかし)退治の専門家、結界師一族の家に正統継承者として生まれた墨村良守(すみむらよしもり)。隣に住む雪村時音(ゆきむらときね)も良守と同じ結界師だが、両家は犬猿の仲。良守と時音が守っているのは妖を呼び寄せ、その力を高めてしまう烏森(からすもり)の地。2人は夜になると結界術を使い、烏森の地に建つ私立烏森学園に集まってくる妖を退治している。良守はかつて自らの失策により、時音が妖の攻撃から自分をかばい大怪我を負ってしまったことを後悔し、二度と時音や自分の周りの人々が傷つかないようにするため、強くなることを心に誓うのであった。
やがて良守と時音は、妖犬の斑尾の旧友・鋼夜(こうや)との戦い、夜行に所属する少年・志々尾 限(ししお げん)との出会いと妖の組織・黒芒楼(こくぼうろう)との対決、良守の兄・墨村正守との葛藤、人の心を喰らう魔物・邪煉(じゃれん)に対して封魔師・金剛毅(こんごう たけし)と共闘、戦闘用の妖・黒兜(くろかぶと)との死闘、など様々な出来事を通して成長していく。そんな中、烏森に現れた巫女・サキによってある予言がもたらされる。「恐れよ…血の臭い纏いし災いの神…この地に舞い降りん」。
今、裏会を中心に何かがおきようとしていた。

妖怪好きに

子どもというのは怪獣とか妖怪とかが大好きなものです。うちの子ども達も妖怪ウォッチから始まり、地獄先生ぬーべーへ。果ては妖怪漫画の元祖とも言えるゲゲゲの鬼太郎と、さまざまな妖怪漫画を読んできました。

「結界師」は妖怪と戦うことができる結界術を持つ能力者が主人公です。

出歩かない少年漫画

一般に少年漫画は、友を求めて宝を求めて世界を救うために、といろいろな理由で旅をして回ることが多いのですが、「結界師」は烏森という地を守ることが大前提なので出歩きません。

こちらからであるかなくても、烏森へ妖やら敵組織やらが勝手にやってきてくれます。定番を破っているという意味では、なかなかチャレンジングな漫画だといえるでしょう。

ただ、このチャレンジの弊害なのか、序盤はあまり物語りに動きがありません。主人公の墨村良守とヒロインの雪村時音が烏森にとどまり続けているので話の展開が難しそうです。中盤以降、主人公の兄や母が主人公の変わりに出歩いてくれることで物語が大きく動き出します。

少年漫画で旅するのはワンパターンだなぁ。。。など思っていたのですが、定番にははやりそれなりの意味があって、物理的に場所を移動しないとなかなか物語を進めにくい面があるかもしれません。

ちなみに、主人公立ちの守る烏森という場所。東京の新橋駅とはまったく関係ありません(わかる人にはわかるはず)

方位・定礎・結

いろいろな能力が面白い

結界師の世界には、妖怪と戦ったり人間同士が戦うためにさまざまな能力が出てきます。封魔術や風使い、式紙といったこういった和風テイストのファンタジーバトルに欠かせない能力も出てきますが、主人公達が使う結界術なんてのはこの漫画オリジナルじゃないでしょうか。

能力によって特徴があり、その使い方もさまざまなあたり、子ども心をくすぐると思います。

主人公のまっすぐさが良い

大人の視点から見ると、主人公墨村良守のまっすぐさを応援したくなります。考えずに行動して窮地に陥ったり、考えずに発言して周囲を傷つけたりする面があるのですが、それがマイナス面に感じないほど真っ直ぐで純粋な感じで、ひねくれたうちの子にも見習ってほしいところ。

最終回では主人公墨村良守が大きな決断をすることになりますが、物語の後の世界でも笑って暮らしていてほしいなぁ。

ヒロインの雪村時音に恋愛に近い感情を持ちつつも、相手には弟のようにしか思われていない辺りも応援したくなります。この二人の間柄、本編では…(本筋ではないものの、ネタバレなので自粛)

アニメ化もされました

結界師はアニメ化もされています。我が家がこの漫画を知ったのは、アニマックスでやっていた再放送でした。たまたま見た次男が、和風な能力バトルを気に入ってそこからコミックスを買うにいたったのですが、アニメよりもコミックスのほうが面白い気がします。

あまり話題にもならない気がしますが、アニメ化もされていますし安定した面白さで、最後まで物語が破綻しない名作ですよ。