• お勧め度: ☆☆☆(名作です)
  • 対象年齢: 10歳以上(夢をはっきりと意識した子に)
  • 初発表年: 2001年
ふたつのスピカ

あらすじ

2010年、日本初の有人宇宙探査ロケット「獅子号」が打ち上げられた。しかし、上昇中に補助ブースターが爆発、飛行停止システムも作動せず、獅子号は鴨川アスミの住む唯ヶ浜市街地に墜落する。搭乗員は全員死亡、民間人にも多数の死傷者を出す大惨事を引き起こした。これにより、日本の宇宙開発は大きく遅れる事になった。
数年後、この事故で寝たきりとなっていた母親を亡くしたアスミの前に、獅子号の搭乗員だった高野の幽霊であるライオンさんが現れる。ライオンの被り物をした彼の姿は、不思議な事にアスミにしか見えなかった。彼は独りぼっちだったアスミに、自らが果たせなかった宇宙への夢を語った。その話を聞いてライオンさんと「ある約束」をしたアスミは、大きくなったらロケットの運転手になる、と心に誓う。
ある夜ライオンさんは、アスミにおとめ座のα星・スピカの話をした。スピカが連星であること、ふたつのスピカが支えあって一つの輝きを生んでいること、どちらかひとつが消えてなくなるまで…。ずっと一緒にいて欲しい、と言うアスミに、ライオンさんは、そこに星がある限り一緒にいる、と答えるのだった。
中学卒業後、新設されたばかりの宇宙飛行士養成高等専門学校、「東京宇宙学校」に進学したアスミは、そこで同じ夢を持つかけがえのない仲間に出会う。様々な困難を乗り越えながら、アスミは仲間と共に宇宙を目指して進んで行く。

宇宙を目指す子ども達

宇宙をテーマにした漫画って名作が多い気がしますが、「ふたつのスピカ」もそんな名作のひとつです。特に主人公のアスミは、明日を夢見るという名前のとおり、真っ直ぐに夢を追い求め、夢に向かって努力しています。

そんなアスミに惹かれて、そんなアスミの影響を受けて宇宙飛行士への道を目指す5人の少年少女の物語です。5人それぞれ、背景も目的も違うけれど、こうやって同じ方向を目指して努力をして、お互いに支えあって成長していきます。

こういう親友がいるって、いいですよね。うちの子にもこんな仲間ができればいいなぁ。

わたしの夢

泣けます

「ふたつのスピカ」には沢山の出会いや別れ、仲直りがあります。そして、自分の失ってしまったものを思い起こさせるちょっぴり切ないストーリーもちりばめられています。

ネタばれになるので詳しいことはかけませんが、子どもの視点で読んだときと大人の視点で読んだとき、それぞれに泣けるポイントがちりばめられています。子どもに向ける親の思い、友情のありがたさ、永遠の別れや親と子の和解等々。泣ける漫画が必ずしもいい漫画だとは言いませんが、情感たっぷりで、なんか心の奥底をくすぐってくる漫画なんです。

読み終わってからも、友達と二度と会えなくなるような寂寥感というか。まだ続きが読みたかったと思わせてくれます。

ふたつのスピカ

作品の中でも紹介されていますが、スピカは連星です。作品タイトルは「ふたつのスピカ」なので、望遠鏡で目視できる二つの星をアスミとライオンさんのふたりになぞらえているのかも知れません。

でも、実はスピカは5連星だといわれています。5連星だとしても、5人の少年少女をあらわしているようで良いなぁ...。

眩しすぎます

なんというかおじさんには眩しいです

物語の中でも、周囲をうろつくおじさんが「ああいう若者たちの姿っていうのは、私なんかにも眩しすぎます」という台詞が出てきますが、ホント眩しいです。うちの長男も宇宙飛行士になりたいといっていたけど、ここに出てくる子達ほど努力していないなぁ...。僕自身もそうだったけど。親を見習わず、漫画の主人公達をまねてほしいです。

でも、「ふたつのスピカ」の中では、主人公たち少年少女だけでなく、アスミの父親の鴨川友朗や宇宙学校の共感の佐野先生も夢を追い続けています。僕ももっと頑張らないとですが。


そんなこんなの、「ふたつのスピカ」。NHKでアニメ化はされていたものの、マイナー雑誌に連載されていたこともあり、漫画やアニメへの興味が薄い方にはご存じない方も多いかもしれません。でも、未読の方には大人と子どもに関係なく、ぜひ勧めたい漫画です。