• お勧め度: ☆☆(経済の入門にも)
  • 対象年齢: 6歳以上(ストーリが苦手でなければ低学年でも)
  • 初発表年: 2007年
狼と香辛料

ストーリー

馬車で各地をめぐり、さまざまな物品を取引する行商人、クラフト・ロレンス。
麦の取引に訪れた村、パスロエで、彼は馬車の荷台に潜り込んでいた少女──ホロと出会う。自分は麦の豊作を司る狼神だという彼女には、確かに狼の耳と尻尾が生えていた。ロレンスは、そんな彼女を疑いながらも、彼女の故郷であるという北の地・ヨイツへの旅を共にすることに。港町・パッツィオ、教会都市・リュビンハイゲンでの「冒険」を経て、互いを理解していったふたりは、旅の仲間として絆を深めていく。
そしてふたりは、ホロの故郷の記録を持つ者がいるかもしれないという町、クメルスンを目指す。祭りに湧きかえる町でふたりを待っていたのは──。

人気ラノベの漫画化

「狼と香辛料」はシリーズ累計400万部を超える同名のライトノベルを漫画化した作品です。中世ヨーロッパをイメージしたファンタジーでありがちな世界観ながらも、剣と魔法による争いではなく経済を中心とした頭脳戦を中心としたストーリー展開が評判になり、宝島社発行誌『このライトノベルがすごい!』では2007年度に1位を獲得しています。

原作つきの漫画では、原作のイメージがうまく表現されずに、元々のファンからそっぽを向かれてしまう作品も多いのですが、「狼と香辛料」では原作のイメージを壊すことなく、むしろ生かしながら二次元化に成功した作品だと思います。

ファンタジーと経済

ファンタジーの世界では戦士とか魔法使いといった職業に焦点が当たることが多いのですが、あえて商人を主人公にしている点がとても面白い作品です。ファンタジーの世界であっても、そこで人が生活している以上、何らかの経済活動は行われているはずなんですよね。

中世社会風の経済の設定や、町や宗教に応じた経済観など、経済をテーマのひとつとするだけあって、世界観がしっかり作りこまれているので読みがいがあります。

商取引を中心とした心理戦

バトル漫画の世界では、「ハンター×ハンター」のように、技の駆け引きや言葉の駆け引きを楽しめる漫画も少なくないのですが、商取引を中心にしながら、ここまで心理戦を描いている漫画は少ないのではないでしょうか。

ビジネスの入門漫画として十分に楽しめる内容です。


小説も読んでほしいです

ただ、「狼と香辛料」。漫画版はなかなか続きが出ません。それどころか、小説版にはあっても、漫画化されていない巻もあります。

小説の5,6,12巻はほとんど触れられておらず、10巻はまったく触れられていません。また、2017年2月現在で、小説の17巻以降は漫画化が終了していません。

漫画で描かれているロレンスやホロの今後や、漫画化されなかったストーリーが気になるようだったら、是非、小説も手にとってほしいです。小説版も読みやすい軽い文体ですし、漫画から小説の世界への入り口にも良い作品だと思います。

(実際、うちの長男は続きが気になって図書館で小説を借りてきていました)

【合本版】狼と香辛料 1~17巻収録<【合本版】狼と香辛料> (電撃文庫)
支倉 凍砂
KADOKAWA / アスキー・メディアワークス
2016-07-10