• お勧め度: ☆☆(はまる人ははまる)
  • 対象年齢: 10歳以上(子ども心もくすぐる)
  • 初発表年: 2006年
聖☆おにいさん

あらすじ

目覚めた人ブッダ、神の子イエス。世紀末を無事に越えた二人は、東京・立川でアパートをシェアし、下界でバカンスを過ごしていた。近所のおばあちゃんのように、細かいお金を気にするブッダ。衝動買いが多いイエス。そんな“最聖”コンビの立川デイズ。

日常系コメディ

宗教、政治、野球の話はタブーだといわれますが、「聖☆おにいさん」は、そのうちの宗教をネタにしています。仏教の祖ブッダとキリスト教の神の子イエスが現代日本での生活を満喫するコメディ漫画です。別世界のトリップものでありがちな、彼我の常識の違いをネタにすることが多く、読んだとたんに大爆笑というよりは、じわじわ効いてきてクスリと笑えるような漫画です。

断食

大丈夫ですかね

ブッダの苦行とか弟子の奇行とか、欲にまみれたイエスの素行とか天子たちの曲行とか…。宗教を馬鹿にしているような面が多々あります。

ブッダは肉体的精神的苦痛を喜ぶマゾヒスティックな人物ですし、イエスは軌跡の力を持った天然ボケのお子様キャラです。まじめに信じている人たち、特に原理主義的な人には許せない世界観ではないでしょうか。よく言えば宗教に肝要な日本だからこそネタにできる漫画ですが、作者が狂信的な人に殺されてしまわないか、心配になるような作風です。

まぁ、でも、過激すぎずおとなしすぎない、絶妙なラインのコメディだとも思います。

元ネタを知っているといっそう面白い

「聖☆おにいさん」の中でも多少の説明はあるものの、仏教やキリスト教、神道といった宗教の基礎知識や日本で行われている年中行事に関する習俗の知識があると、よりいっそう楽しめる漫画です。

ブッダの耳や螺髪といった異形の話や、悟りを得るまでの苦行、父やモーセなどの聖書の物語等、教養としても押さえておきたい話でもあります。実際、うちの子は、「聖☆おにいさん」をきっかけに、天使と悪魔の事典に手を出してみたり、ブッダに手を伸ばしたりと、興味を盛ってくれたようです。世界に目を向けると、宗教に関する教養は必須ですので、そういった世界に興味を持つための入り口にもよいかもしれません。